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燃料電池に関する画期的な研究成果例
実用燃料電池Ptナノ粒子触媒の発電過程のin-situ時間分解XAFS構造解析
(XAFS法: X線吸収微細構造法(放射光を用いたX線分光学の一種)

概要

触媒反応などダイナミックな挙動を追跡するための方法としてクイックXAFS法があるが、電池表面反応過程は速いので計測ができなかった。岩澤・唯らはこれまで無理だった実燃料電池白金触媒の働きをリアルタイムで観察可能な、新しいクイックXAFS法を開発し、燃料電池作動条件下における陽極白金ナノ粒子触媒の酸化還元挙動を初めて捕えることに世界で初めて成功した。この方法で、電池作動時の電圧変化によって引き起こされる陽極白金表面の電気化学過程、白金触媒の構造変化、電子状態変化、白金粒子の溶出、表面反応メカニズムを明らかにすることに成功した。これらの成果はドイツの高インパクトファクター(IF: 10.9)の学術雑誌Angew. Chem. Int. Ed.に掲載された。

(“In Situ Time-Resolved Dynamic Surface Events on the Pt/C Cathode in a Fuel Cell under Operando Condition” M.Tada, Y. Iwasawa、et al.,Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 4310-4315)

本成果は、時間分解XAFS計測によってこれまで分からなかった燃料電池発電条件下の触媒の性能や溶出劣化に関係する白金ナノ粒子の構造、酸素との結合状態、及び白金価数など触媒自身の情報が得られるため、しかもその時間変化が分子レベルで解析できるため、本手法を高度化することにより、高活性・高耐久性をもつ触媒設計指針を提示できることを示唆する重要な結果である。

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